[文春・新潮] アラ探しする週刊誌の「ロンドン五輪特集」
ロンドン五輪が開幕してから、メディアは各種目の日本代表選手に注目した番組を放映し、記事を掲載している。基本的には、選手らを応援する内容のものが多く、メダルを獲得した選手がテレビ各局で順番に出演するのがもはや日常的となっている。
選手らを応援したり褒めたりするのは結構だが、同じ選手の顔ばかりを何度も見て、似たような質問と答えを聞かされると、いい加減にうんざりする
こともある。応援しすぎたりほめすぎることによって、逆に選手らのプレッシャーになるのではないか、などと余計な心配をしてしまったりもする。
他方、週刊誌は、五輪が開催されると代表選手らのアラ探しをするのが恒例となっている。週刊文春は「歓喜と落胆の間一髪」、週刊新潮は「メダルに隠されたドラマ」という特集をそれぞれ組み、注目の代表選手について記事で取り上げている。
両誌とも、特集の大部分は選手らのスキャンダルや暇ネタに割かれているのだが、新潮のアラ探しは度を超えており、読んでいて気分が悪くなってきた。よくもこれだけのネガティブなネタを探してきたなあ、という感じである。
応援や賞賛ばかりという状況にも違和感を抱くが、悪口ばかりを書き連ねるのもどうかと思う。誰だって、叩けばホコリのひとつやふたつは出てくるのだから。
[新潮] 『週刊鳥頭ニュース』のお題は「いじめ」
同じお題について、西原理恵子氏は漫画で、佐藤優氏はコラムで、それぞれ解説する『週刊鳥頭ニュース』。この手の仕事に関して、佐藤氏はお手の
物だろうけど、西原氏にニュースを解説させるというのは、ちと厳しい。結果として、西原氏はお題によっては、とんちんかんな解説(苦しまぎれの解説?)を
することも多い。それが面白いといえば、面白いのだが。
しかし、ときどきキラリと光る内容の漫画で、ニュースを解説することがある。お題が「子ども」や「家族」「戦争」「社会的弱者」などの場合に光
るのである。今週のお題は「いじめ」。亡くなった元夫の鴨志田穣氏は、主に東南アジアで活躍した戦場カメラマンなのだが、西原氏は元夫の目線から「いじ
め」を描いている。
鴨志田氏は言う。「少年兵が一番人を殺すんだよ」。「少しの訓練と少しの食べ物で、簡単に人を殺す」。なぜ子どもの兵士はそうなってしまうの
か。「大切なもの」が何か、子どもには分からないからだ。そんな経験から、鴨志田氏は自分の子どもに「がんじ」という名前をつけた。非暴力主義者・ガン
ジーがその名の由縁である。
逆に言えば、「大切なもの」が何なのかをしっかりと教え続け、いざという時には逃げ道を作ってあげることくらいしか、大人が子どもにできること
はないということだ。「いじめ」はなくならないし、暴力もなくならない。だが、子どもにだって他者の気持ちを想像する癖をつけることは可能だし、極限状態
になったら逃避という手段があるという知恵をつけることも可能なのだ。
ちなみに、筆者は鴨志田氏と同年齢であり、ふたりとも同じ時代に長期で東南アジアに滞在した経験を持つ。そして、彼とは何度か麻雀の卓を囲んだ
ことのある雀友でもあった。大酒飲みであることは玉にきずであったが、あのゆるやかな微笑みをもう見ることができないと思うと、さびしさがこみ上げてく
る。
[その他] 「duckeasy」とは何か?
「duckeasy」とは、フォアグラをこっそり食べさせる店のことを言う。文春の連載『町山智浩の言霊USA』で、カリフォルニア州のレスト
ランでは7月からフォアグラを提供することが禁じられたことについて触れている。にもかかわらず、フォアグラを出す店があるのは、日本でレバ刺しが禁じら
れても出す店があるのと同じだ、と町山氏は言う。
動物愛護の境界線をどこに引くのか。とても難しい問題である。答えがない問題といってもよい。どの生き物は殺したり虐待してもよくて、どの生き
物は殺したり虐待してはいけない。そんなことは、根源的には誰にも決められない。しかし、人間が生きるためには食物が必要で、ある種の動物に関しては殺し
て食わざるをえないという現実がある。
何よりも大切なことは、目前の肉が「動物を殺した上で提供されている」ということを、食べる側の人間が自覚し、一瞬でもいいので、殺した動物に
感謝の念を抱くことなのかもしれない。過剰な動物愛護に対して筆者は批判的だが、「生き物を殺して食う」という自覚のないまま肉を食するような状況も、
けっして見過ごすことはできない。
さて、今週の軍配は。両誌には目立った記事がなかったので、引き分け。
【これまでの取り組み結果】
文春:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
新潮:☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(谷川茂)(情報提供:夕刊ガジェット通信)
日本の記者と言うのはどうしてこれほど無知なのか。
動物を食わざるをえないといまだに間違った考えに固執している。
愚かだ。
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